小説における泣き別れの考察(京極夏彦)

泣き別れとは 泣き別れ自体には色々な意味があるが、この記事では、文章での泣き別れを指すこととする。 そして、文章において泣き別れとは、ページをまたいで文章が続くことを言う。   (以下泣き別れの例)   (泣き別れが解消されている例) 泣き別れと作家 小説における泣き別れが生じると、読者側のリーダビリティが損なわれる。 ついでにいえば、切りのいいところでしおりを挟もうと思っても、泣き別れが続くとなかなか終わりどころがわからなくなる そういう観点から、泣き別れを嫌う作家は少いながら存在する(気にしない人は全く気にしていないように見える。そして、気にしない派の方が多いだろう) 作家の京極夏彦は、この泣き別れをひどく嫌う人の一人だ。 本一冊の中で、一度も泣き別れをしていないと... 続きを読む

生きる意味を見失ってしまった。そんな時に

はじめに 自分の生きている意味はなんなのだろうか? 自分に生きている意味がないのではないか? 自分がこの世に生を授かった意味がわからない。 そんな時が唐突に訪れたりすることはないだろうか? この記事では私なりの生きる意味に対する考えを記す 生きる意味はどこにあるか? 生きる意味というのは、どこか路傍に転がっているものではない ましてや、他人から与えられるものでもない 「生きる意味を探す」という表現があるが、個人的にはピンとこない。 なぜなら、どの辺に落ちているものではないから。 ついでにいえば、自分探しの旅とかはあまり効果があるように思えない ならどうすればいいか? 生きる意味がないと感じており、生きる意味が欲しいのであれば、 自分で「生きる意味を創り出す」必要がある。 “ない”... 続きを読む

1文字は何円か?色々な媒体における、文字の価値を考察

はじめに 文章を書いている人間なら考えると思う。自分の文章がどれほどの価値があるのだろうか、と。 上にある広告を見てもらいたい。 この広告はネットの記事代行の広告で、1文字あたり1円で代行してくれるようだ この広告を見て思ったのだが、他の文章は1文字あたり何円に相当するのだろうか? この記事では、小説、コピーライトなどで文字の価値を検証 Case1:小説家 本の値段に関して、専門書は高く、エンターテイメント系は安い傾向にある。 ここでは、大衆向けの小説を想定。 簡単のため以下のような設定とする 本の値段:500円 印税:10% 本一冊分の文字数:10万文字 この場合、本一冊売れると50円手元に入る。 次に以下の具合に本が売れたと仮定する そして、その時手に入る利益を計算。... 続きを読む

小説において「自分」とは何人称なのか?

はじめに 「自分」とは何人称なのだろうか? ちょっと疑問に思った 前提知識 ※小説の人称がわかっている人はスキップしてOK 小説は例外を除き、3人称小説か1人称小説に分類することができる。 これは、小説の地の文では、主語を3人称か1人称のどちらで扱うかで分けられる。 3人称:登場人物の名前を直接使う。あるいは、「彼」「彼女」という代名詞を使う 1人称:「私」「俺」「僕」などを使う 3人称の文章の例: 佐藤は、食事に出かけた。(登場人物の名前を直接使う) 彼女は、家に帰った(代名詞を使う) 3人称の文章の例: 俺は、寝坊した。 私は、洗濯をした。 「自分」とは何人称か? 答えをいうと「1人称」 理由は至極単純、「私」「僕」と同列で、自分自身のことを指す言葉だから。 それでも納得い... 続きを読む

小説を読んでいて作者視点が入っていると感じる瞬間

はじめに ネット小説などを読んでいると、たまに作者視点が入っているなと思うことがある。 どういった文章を読むと、作者視点と感じるのか、そこらへん自分の中で、きちんと言語化して説明したい。 ※外部参考サイト:三人称の「純粋な、完全な作者視点」をおさえる。(小説の作法) まあ、私は、人の文章を批判できるほど、自分の文章能力は高くないのだが…… ここ最近読んでいて、かなり作者視点が入っていると思った作品として、小説家になろうで掲載されている、「ポンコツ魔術師の凶運」と「J/53」(作者:池金啓太)という作品かな…… 作品(J/53)の特徴 最終更新日:2015/04/05 00:00 読了時間:約8,987分(4,493,293文字) 「小説家になろう」には40万作品以上ある中で、文字数の多い順で... 続きを読む

乗り物酔いを回避。物理的に考える電車でのベストポジション

はじめに 私は、割と、乗り物酔いするタイプ。そんな私が紹介する電車を乗るとき、可能な限り酔わないポジショニング。 電車 結論から言えば、真ん中の真ん中が一番いい。 例えば15両編成の電車であれば、真ん中あたりの7か8番目が一番いい。なぜなら、物理的に考えて、電車の両端が一番揺れる。逆に、真ん中が一番揺れない。 電車好きの小さな男の子が一番先頭の車両に乗り込み、車掌席付近にいることがあるが、あそこは一番酔う。 ついでに言えば、電車が事故った時に、真っ先に命を落とすのが先頭車両にいる人間。先頭車両にいて、いいことは一つもない。 また、一つの車両の中でも、真ん中付近が一番揺れない。 多くの電車は、優先席を車両の内の一番端っこに設定されている。だが、優先席が一番最悪。妊婦の方などのために優先席が存在... 続きを読む

「マクガフィン」とは?具体例を交えつつ解説

「マクガフィン」とは マクガフィンとは、物語を動かす一要素ではあるが、別のものに代替可能なもの。 例えば、ルパンシリーズは、大泥棒であるルパン三世が、様々な財宝を盗み出す話である。この財宝は、金塊でも宝石でも美術品でも古書であっても、物語に支障はでない。財宝が金塊じゃないといけないといった特別な理由はない。そういう意味でこれはマクガフィンといえる。 ここで、「価値のあるもの」であれば何度も入れられる箱のようなもの想像してください。この箱に当てはまるものであれば、中身はなんでもよい。 ルパンシリーズにおいて、箱は、「価値あるもの」。中身は、金塊、宝石、美術品、古書などに相当。 箱:「価値のあるもの」 中身:金塊、宝石、美術品、古書 「マクガフィン」の具体例 『バカとテストと召喚獣』 バ... 続きを読む

物語に登場するキーアイテムの種類を分類してみた

キーアイテムとは いくつかの物語には、キーアイテムが設定されていることがある。(無論キーアイテムのない物語もあるが) 説明するまでもないだろうが、キーアイテムとは、物語において重要なアイテムのこと。 ただ重要と言っただけでは、いささか漠然としている。 また、キーアイテムがどのような役割を果たすか、物語によって異なる。 そこで、この記事では、物語において果たす役割を踏まえて、キーアイテムの種類を分けを試みたい。 目的型キーアイテム 「手に入れる」ことが目的となっているアイテム。とあるアイテムを手に入れることが主人公の最上の課題となっている物語がある。一番わかりやすい例として、そのアイテムを手にすると、願いを一つ叶えてくれるタイプ。アイテムを得ようとして多くの人で争う場合がある。目的型キーアイテ... 続きを読む

古本屋でいい本に巡り合う方法・コツ

はじめに 古本屋で、好きな作家の本というのは買うだろうが、それとは別に、今まで読んだことのない本を読んでみたくなることがある。いわゆる、新ジャンルの開拓だ。 その時の、個人的な方針というのはいくつかある。 著名な作者 古本屋で、有名な作者の本の場合は、外から見ても、ぱっとわかるように、カードのようなものが用意されている場合がある。つまり、その作者の本が、ジャンルとして確立され、その位置を見つけやすくするための工夫がこらされているような場合。 読書好きでも、著名な作者の本をすべて読んだことがあると声高に言える人は多くないだろう。今まで読んだことのない作者の本を読むのは悪くはない。 多くの本を書いている作者 本を一冊だして、終わる作家というのは、そんなに珍しくない。そんな中で、多くの本を書き続け... 続きを読む

『電波的な彼女』(片山憲太郎)-感想解説(悪とは何か?)

『紅』と『電波的な彼女』の比較 主人公が事件を解決するタイプだが、一般的なこの手の作品と比べ、主人公(ジュウ)の力は弱い。 悲しいことに、メインヒロイン(墜花雨)より弱い(肉体的に)。ついでに、2巻目から出てくるサブヒロイン(斬島雪姫)にもおそらく勝てない。 主人公(ジュウ)は、一応、一般人よりはタフであるという設定はある。だが、所詮、人ひとりの力を超えない。 何か超常的な力を持たない。 事件解決型の物語でよくある、主人公の強力なパワーで、事件を解決する、といったことは主人公(ジュウ)にはできない。 そのため、解決のされかたも、みんながめでたくハッピーというエンディングにはならない。 なぜなら、人ひとりができることなんて、そんなに多くないから。ついでに言えば、『電波的な彼女』シリーズで、扱... 続きを読む