『紅』(片山憲太郎)-感想解説(西尾維新との比較)

話の概要 事件があって、主人公が戦闘を通して解決するタイプの物語。 揉め事処理屋(※何でも屋みたいな存在)である主人公真九郎を中心としたキャラの会話が面白い。キャラの造形がしっかり作りこまれており、どのキャラも魅力的で読者を飽きさせない。 作者である「片山憲太郎」は「西尾維新」(『クビキリサイクル』をはじめとする『戯言シリーズ』)と作風が似ているといわれる。 2chとかでも、パクった、パクっていないだとかごたごた騒がれる作品である。 確かに、物語の雰囲気は似ていると、私も感じる。 たしかに、『紅』は、影響は受けたかもしれないが、 『紅』は『戯言シリーズ』にない独自性や相違点があるため、 パクってはいないと私は考えている。 『戯言シリーズ』と『紅』の共通点と相違点 共通点 両作品も、女の最... 続きを読む

記事を書くときの注意ポイント

記事を書くときに注意したいこと ネット上で、記事を書く際に、 個人的に注意したいと考えていることを挙げていきたい ※個人的な覚書 記事の「ですます調」と「である調」 記事の中で、「ですます調」と「である調」は統一すべき。 本当は、サイト全体で、ですます調とである調は統一すべきなのかもしれないが、このサイトではできていない。残念ながら。 私の場合、書いている時のテンションで、「ですます調」と「である調」でブレができてしまう。 大抵の場合、最初は読み手のことを考えて丁寧語の方がいいだろうと思い、「ですます調」で書くことが多いのだが、筆(というかタイピング)が乗ってくると「である調」になってしまう。 一度書き終えた時は、確認するべき。 記事の強調 読み手というのは、書き手が想像している以上に文章を... 続きを読む

本一冊の平均的分量:10万文字、40シーン、10キャラ

本を書く時の、作家の思考 どのような思考で、作家が物語を紡いでいるか気にならないだろうか? 「気にならない」 そう答える人の方が多いと思う。 作家の思考なぞ、物語を純粋に楽しむのに不必要な要素だから。 しかし、私は考えてみることにした。 なぜか? たぶん暇だったからじゃないかな…… プロット 作家の多くがプロットと呼ばれるものを考える。 簡単にいえば、プロットとは、あらすじ。 ある意味当然といえば、当然。 話の流れを全く考えずに物語を書くのは難しい。 ※アニメ化した『これはゾンビですか』という作品の作家は。 一巻のあとがきで、プロットを考えずに作品を書いたという旨を記している。 たしかに、プロットなしの勢いで書いているといわれても納得する作品だった。 そして、プロットを... 続きを読む

よい小説とは何か?-最も単純な答えを示す

人は本を評価したがる生き物 多くの人が本を読み終えた時に、 いい本だったとか、つまらない本だったとか、 色々感想を持つと思う。 つまり、私達は、本の良しあしを判断する基準を 自分の中で持っているはずだ。 しかし、それをきちんと言葉で表すことができるだろうか? 本の良い点、あるいは、悪い点を挙げて、 それを具体的に表すのは難しくない。例えば、「主人公とヒロイとの会話が、切れのあるツッコミとボケの連続で、面白い」 しかし、人は時に、 「あの本よりもこの本の方が面白い」 と語る場合がある。 あるいは、人によっては、 「今まで読んできた本の中で、この本が一番おもしろい」 と語る場合がある。 いわゆる、自分の中の最高峰に位置する小説があるだろう。 ちなみに、私の場合、10年ほど前に読んだ ダニエル・キ... 続きを読む

物語も「三度目の正直」-3回目でひっくり返すパターン

童話で見られる「三度目の正直」型 童話では、3回目でひっくり返すパターンがよくみられる。 私は、そのよう物語を勝手に、「三度目の正直」型の構成と呼んでいる。 『三匹の子豚』と『オオカミ少年』という二つの物語を通して、説明したい。 『三匹の子豚』 あらすじ 起:1匹目の子豚が作ったわらの家が、狼に吹き飛ばされる。 承:2匹目の子豚が作った木の家が、狼に吹き飛ばされる。 転:3匹目の子豚が作ったレンガの家を、狼は吹き飛ばすことができなかった。 結:業を煮やした狼は煙突から侵入する。だが、3匹目の子豚は見事、返り討ちにする。めでたし。めでたし 「因果応報」型の物語。 しっかり準備しない子豚は、狼にやられる。 しっかり準備した子豚は、その努力が報われる。 『オオカミ少年』 あらすじ 起:おおかみが来... 続きを読む

『羅生門』(芥川龍之介)での蟋蟀の役割-時の経過を示す

時の経過を示す手法& 読者の視点を引き込む手法 この記事では、芥川龍之介の作品を扱う。 作品を通して、 1:時間の経過をさりげなく示す手法 2:読者の視点を、惑わすことなく、物語の世界へつなげる手法 を紹介したいと考えている。 『羅生門』 日本人であれば、芥川龍之介の『羅生門』を 教科書を通して一度は読んだことはあるはずだ。 著作権が切れているので、青空文庫で、無料で読むことができる。 (→こちらへ) 蟋蟀きりぎりすが登場するのは2回。 1回目は、 ある日の暮方の事である。一人の下人げにんが、羅生門らしょうもんの下で雨やみを待っていた。  広い門の下には、この男のほかに誰もいない。ただ、所々丹塗にぬりの剥はげた、大きな円柱まるばしらに、蟋蟀きりぎりすが一匹とまっている。 2回目は、 ... 続きを読む

『たくさんのタブー』(星新一)-オチの感想・解説

作品概要 ショートショート作家で有名な星新一の短編が、20編収録された作品 話の解析 20編の話がどのような内容か端的に書きます 以下ネタバレを含みます。 (いきなりネタバレする人が嫌な人のための、障害物) 先に読んでおきたい関連記事 短編のオチの三本柱-オチのパターンを分類する   「解決策」:ループ。妻殺しのループ 「重要な部分」:非日常→単純な仕組み。背中に痛みを与える装置で人をやる気にさせる。痛みでやる気を出させるという真逆さが面白みの一つ。大がかりな話(社会の急所)の裏は、大したことがなかった(嘘っぱち)というのがオチ。 「おかしな青年」:ループ。誤診で死んだ少年が消えない幽霊として現れる。 「逃亡の部屋」:意図した行為とは真逆の結果。逃亡の末、ついには自殺を... 続きを読む

短編のオチの三本柱-オチのパターンを分類する

短編のパターン 短編を読んだときに、 この短編のオチは、前読んだ別の短編とオチが似ているな。 そんなことを思ったことはないだろうか? その既視感は、正しいと思う。 人が面白いと思うものにはある程度パターンが存在するはずである。 そして、書き手は意識的か無意識的にか、パターンというものを捉えて、 それを文字という形におとしこんでいる。 オチとは何か? オチのタイプを考える前に、 そもそも、オチとはいったいなんなのかについて考えたい。 とりあえず、オチの特徴を挙げていくと、 1:オチは、話の結末にある。 2:オチがある→面白い 1つ目のポイントだが、 オチというのは、物語の後半にあるというのが、多くの人の共通認識だろう。 ただ、長編の場合は、小さな話の積み重ねになるので、 話の最後ではないが... 続きを読む

主観的な表現する人は文章下手-料理の描写を例に解説

味の良さを表現するには? 想像してください。 今、あなたが、今までにない、最上の料理を食べたとしましょう。 そして、離れた友人に電話で、料理の素晴らしさを伝えたいとします。 あなたは、どう友人に料理のよさを伝えますか? 味が良いことを示す言葉は、たった3つ 日本語において、味のよさを直接示す言葉は残念ながら、多くありません。 「うまい」「おいしい」「美味だ」 私の知る限り、この3つしかありません。 「美味(びみ)だ」という堅苦しい言葉を、日常的に使う人は、私はあまり見かけません。 また、「おいしい」の漢字を振ると、「美味しい」です。 なので、「美味」という漢字は多くの場合、『「おい」しい』の方に使われるイメージが強いかと思われます。 現実的には、「うまい」か「おいしい」の二択になるでしょ... 続きを読む

「努力は必ず報われる」わけではない。 「報われる努力」をしないといけない。

「努力が必ず報われる」は嘘 「努力が必ず報われる」 よく、聞く言葉だ。 そして、なんとも心地よい言葉だ。 子供の頃、ことあるごとに、耳にしたことか…… だが、大人になるにつれ、気が付く。 そして、多くの人が分かっていることだが、 努力は必ず報われるわけではない。 イメージするのは、大学受験が一番わかりやすいだろう。 限られた席をその何倍の人が応募して奪い合う。 スポーツも同じだ。 輝ける人はほんの一握り。 商売だって、似たようなものだ。 限られた客の取り合いだ。 だからこそ、自分に問わないといけない。 その努力が結果に結びつくのか? その努力が報われるのか? 人生は有限で、時間は有限。 ゆえに、人が一生に為せることも有限である。 だから、努力を向けるきちんと方向を考えないといけない。 「努力... 続きを読む