分析

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小説において「自分」とは何人称なのか?

はじめに 「自分」とは何人称なのだろうか? ちょっと疑問に思った 前提知識 ※小説の人称がわかっている人はスキップしてOK 小説は例外を除き、3人称小説か1人称小説に分類することができる。 これは、小説の地の文では、主語を3人称か1人称のどちらで扱うかで分けられる。 3人称:登場人物の名前を直接使う。あるいは、「彼」「彼女」という代名詞を使う 1人称:「私」「俺」「僕」などを使う 3人称の文章の例: 佐藤は、食事に出かけた。(登場人物の名前を直接使う) 彼女は、家に帰った(代名詞を使う) 3人称の文章の例: 俺は、寝坊した。 私は、洗濯をした。 「自分」とは何人称か? 答えをいうと「1人称」 理由は至極単純、「私」「僕」と同列で、自分自身のことを指す言葉だから。 それでも納得い... 続きを読む

「マクガフィン」とは?具体例を交えつつ解説

「マクガフィン」とは マクガフィンとは、物語を動かす一要素ではあるが、別のものに代替可能なもの。 例えば、ルパンシリーズは、大泥棒であるルパン三世が、様々な財宝を盗み出す話である。この財宝は、金塊でも宝石でも美術品でも古書であっても、物語に支障はでない。財宝が金塊じゃないといけないといった特別な理由はない。そういう意味でこれはマクガフィンといえる。 ここで、「価値のあるもの」であれば何度も入れられる箱のようなもの想像してください。この箱に当てはまるものであれば、中身はなんでもよい。 ルパンシリーズにおいて、箱は、「価値あるもの」。中身は、金塊、宝石、美術品、古書などに相当。 箱:「価値のあるもの」 中身:金塊、宝石、美術品、古書 「マクガフィン」の具体例 『バカとテストと召喚獣』 バ... 続きを読む

物語に登場するキーアイテムの種類を分類してみた

キーアイテムとは いくつかの物語には、キーアイテムが設定されていることがある。(無論キーアイテムのない物語もあるが) 説明するまでもないだろうが、キーアイテムとは、物語において重要なアイテムのこと。 ただ重要と言っただけでは、いささか漠然としている。 また、キーアイテムがどのような役割を果たすか、物語によって異なる。 そこで、この記事では、物語において果たす役割を踏まえて、キーアイテムの種類を分けを試みたい。 目的型キーアイテム 「手に入れる」ことが目的となっているアイテム。とあるアイテムを手に入れることが主人公の最上の課題となっている物語がある。一番わかりやすい例として、そのアイテムを手にすると、願いを一つ叶えてくれるタイプ。アイテムを得ようとして多くの人で争う場合がある。目的型キーアイテ... 続きを読む

本一冊の平均的分量:10万文字、40シーン、10キャラ

本を書く時の、作家の思考 どのような思考で、作家が物語を紡いでいるか気にならないだろうか? 「気にならない」 そう答える人の方が多いと思う。 作家の思考なぞ、物語を純粋に楽しむのに不必要な要素だから。 しかし、私は考えてみることにした。 なぜか? たぶん暇だったからじゃないかな…… プロット 作家の多くがプロットと呼ばれるものを考える。 簡単にいえば、プロットとは、あらすじ。 ある意味当然といえば、当然。 話の流れを全く考えずに物語を書くのは難しい。 ※アニメ化した『これはゾンビですか』という作品の作家は。 一巻のあとがきで、プロットを考えずに作品を書いたという旨を記している。 たしかに、プロットなしの勢いで書いているといわれても納得する作品だった。 そして、プロットを... 続きを読む

よい小説とは何か?-最も単純な答えを示す

人は本を評価したがる生き物 多くの人が本を読み終えた時に、 いい本だったとか、つまらない本だったとか、 色々感想を持つと思う。 つまり、私達は、本の良しあしを判断する基準を 自分の中で持っているはずだ。 しかし、それをきちんと言葉で表すことができるだろうか? 本の良い点、あるいは、悪い点を挙げて、 それを具体的に表すのは難しくない。例えば、「主人公とヒロイとの会話が、切れのあるツッコミとボケの連続で、面白い」 しかし、人は時に、 「あの本よりもこの本の方が面白い」 と語る場合がある。 あるいは、人によっては、 「今まで読んできた本の中で、この本が一番おもしろい」 と語る場合がある。 いわゆる、自分の中の最高峰に位置する小説があるだろう。 ちなみに、私の場合、10年ほど前に読んだ ダニエル・キ... 続きを読む

物語も「三度目の正直」-3回目でひっくり返すパターン

童話で見られる「三度目の正直」型 童話では、3回目でひっくり返すパターンがよくみられる。 私は、そのよう物語を勝手に、「三度目の正直」型の構成と呼んでいる。 『三匹の子豚』と『オオカミ少年』という二つの物語を通して、説明したい。 『三匹の子豚』 あらすじ 起:1匹目の子豚が作ったわらの家が、狼に吹き飛ばされる。 承:2匹目の子豚が作った木の家が、狼に吹き飛ばされる。 転:3匹目の子豚が作ったレンガの家を、狼は吹き飛ばすことができなかった。 結:業を煮やした狼は煙突から侵入する。だが、3匹目の子豚は見事、返り討ちにする。めでたし。めでたし 「因果応報」型の物語。 しっかり準備しない子豚は、狼にやられる。 しっかり準備した子豚は、その努力が報われる。 『オオカミ少年』 あらすじ 起:おおかみが来... 続きを読む

短編のオチの三本柱-オチのパターンを分類する

短編のパターン 短編を読んだときに、 この短編のオチは、前読んだ別の短編とオチが似ているな。 そんなことを思ったことはないだろうか? その既視感は、正しいと思う。 人が面白いと思うものにはある程度パターンが存在するはずである。 そして、書き手は意識的か無意識的にか、パターンというものを捉えて、 それを文字という形におとしこんでいる。 オチとは何か? オチのタイプを考える前に、 そもそも、オチとはいったいなんなのかについて考えたい。 とりあえず、オチの特徴を挙げていくと、 1:オチは、話の結末にある。 2:オチがある→面白い 1つ目のポイントだが、 オチというのは、物語の後半にあるというのが、多くの人の共通認識だろう。 ただ、長編の場合は、小さな話の積み重ねになるので、 話の最後ではないが... 続きを読む