感想

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『電波的な彼女』(片山憲太郎)-感想解説(悪とは何か?)

『紅』と『電波的な彼女』の比較 主人公が事件を解決するタイプだが、一般的なこの手の作品と比べ、主人公(ジュウ)の力は弱い。 悲しいことに、メインヒロイン(墜花雨)より弱い(肉体的に)。ついでに、2巻目から出てくるサブヒロイン(斬島雪姫)にもおそらく勝てない。 主人公(ジュウ)は、一応、一般人よりはタフであるという設定はある。だが、所詮、人ひとりの力を超えない。 何か超常的な力を持たない。 事件解決型の物語でよくある、主人公の強力なパワーで、事件を解決する、といったことは主人公(ジュウ)にはできない。 そのため、解決のされかたも、みんながめでたくハッピーというエンディングにはならない。 なぜなら、人ひとりができることなんて、そんなに多くないから。ついでに言えば、『電波的な彼女』シリーズで、扱... 続きを読む

『紅』(片山憲太郎)-感想解説(西尾維新との比較)

話の概要 事件があって、主人公が戦闘を通して解決するタイプの物語。 揉め事処理屋(※何でも屋みたいな存在)である主人公真九郎を中心としたキャラの会話が面白い。キャラの造形がしっかり作りこまれており、どのキャラも魅力的で読者を飽きさせない。 作者である「片山憲太郎」は「西尾維新」(『クビキリサイクル』をはじめとする『戯言シリーズ』)と作風が似ているといわれる。 2chとかでも、パクった、パクっていないだとかごたごた騒がれる作品である。 確かに、物語の雰囲気は似ていると、私も感じる。 たしかに、『紅』は、影響は受けたかもしれないが、 『紅』は『戯言シリーズ』にない独自性や相違点があるため、 パクってはいないと私は考えている。 『戯言シリーズ』と『紅』の共通点と相違点 共通点 両作品も、女の最... 続きを読む

『たくさんのタブー』(星新一)-オチの感想・解説

作品概要 ショートショート作家で有名な星新一の短編が、20編収録された作品 話の解析 20編の話がどのような内容か端的に書きます 以下ネタバレを含みます。 (いきなりネタバレする人が嫌な人のための、障害物) 先に読んでおきたい関連記事 短編のオチの三本柱-オチのパターンを分類する   「解決策」:ループ。妻殺しのループ 「重要な部分」:非日常→単純な仕組み。背中に痛みを与える装置で人をやる気にさせる。痛みでやる気を出させるという真逆さが面白みの一つ。大がかりな話(社会の急所)の裏は、大したことがなかった(嘘っぱち)というのがオチ。 「おかしな青年」:ループ。誤診で死んだ少年が消えない幽霊として現れる。 「逃亡の部屋」:意図した行為とは真逆の結果。逃亡の末、ついには自殺を... 続きを読む