表現

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小説における泣き別れの考察(京極夏彦)

泣き別れとは 泣き別れ自体には色々な意味があるが、この記事では、文章での泣き別れを指すこととする。 そして、文章において泣き別れとは、ページをまたいで文章が続くことを言う。   (以下泣き別れの例)   (泣き別れが解消されている例) 泣き別れと作家 小説における泣き別れが生じると、読者側のリーダビリティが損なわれる。 ついでにいえば、切りのいいところでしおりを挟もうと思っても、泣き別れが続くとなかなか終わりどころがわからなくなる そういう観点から、泣き別れを嫌う作家は少いながら存在する(気にしない人は全く気にしていないように見える。そして、気にしない派の方が多いだろう) 作家の京極夏彦は、この泣き別れをひどく嫌う人の一人だ。 本一冊の中で、一度も泣き別れをしていないと... 続きを読む

小説を読んでいて作者視点が入っていると感じる瞬間

はじめに ネット小説などを読んでいると、たまに作者視点が入っているなと思うことがある。 どういった文章を読むと、作者視点と感じるのか、そこらへん自分の中で、きちんと言語化して説明したい。 ※外部参考サイト:三人称の「純粋な、完全な作者視点」をおさえる。(小説の作法) まあ、私は、人の文章を批判できるほど、自分の文章能力は高くないのだが…… ここ最近読んでいて、かなり作者視点が入っていると思った作品として、小説家になろうで掲載されている、「ポンコツ魔術師の凶運」と「J/53」(作者:池金啓太)という作品かな…… 作品(J/53)の特徴 最終更新日:2015/04/05 00:00 読了時間:約8,987分(4,493,293文字) 「小説家になろう」には40万作品以上ある中で、文字数の多い順で... 続きを読む

『羅生門』(芥川龍之介)での蟋蟀の役割-時の経過を示す

時の経過を示す手法& 読者の視点を引き込む手法 この記事では、芥川龍之介の作品を扱う。 作品を通して、 1:時間の経過をさりげなく示す手法 2:読者の視点を、惑わすことなく、物語の世界へつなげる手法 を紹介したいと考えている。 『羅生門』 日本人であれば、芥川龍之介の『羅生門』を 教科書を通して一度は読んだことはあるはずだ。 著作権が切れているので、青空文庫で、無料で読むことができる。 (→こちらへ) 蟋蟀きりぎりすが登場するのは2回。 1回目は、 ある日の暮方の事である。一人の下人げにんが、羅生門らしょうもんの下で雨やみを待っていた。  広い門の下には、この男のほかに誰もいない。ただ、所々丹塗にぬりの剥はげた、大きな円柱まるばしらに、蟋蟀きりぎりすが一匹とまっている。 2回目は、 ... 続きを読む

主観的な表現する人は文章下手-料理の描写を例に解説

味の良さを表現するには? 想像してください。 今、あなたが、今までにない、最上の料理を食べたとしましょう。 そして、離れた友人に電話で、料理の素晴らしさを伝えたいとします。 あなたは、どう友人に料理のよさを伝えますか? 味が良いことを示す言葉は、たった3つ 日本語において、味のよさを直接示す言葉は残念ながら、多くありません。 「うまい」「おいしい」「美味だ」 私の知る限り、この3つしかありません。 「美味(びみ)だ」という堅苦しい言葉を、日常的に使う人は、私はあまり見かけません。 また、「おいしい」の漢字を振ると、「美味しい」です。 なので、「美味」という漢字は多くの場合、『「おい」しい』の方に使われるイメージが強いかと思われます。 現実的には、「うまい」か「おいしい」の二択になるでしょ... 続きを読む